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見た目にも美しく、エレガントな香りを持つローズは品種改良が進み、現在では世界に2万種類も存在していると言われています。その中で一般的にアロマオイルに使用されるのが、(*注1) Rosa×damascena「ダマスクローズ」。
そのダマスクローズには「ローズオットー」と「ローズアブソリュート」の二種類があります。これは精油の(*注2)抽出方法の違いによるもので、成分の含有バランスが異なるので香りの印象も大きく変わります。
名前になっている「ダマスク」は中東のシリアの首都ダマスカスに由来していますが、原産地はその近隣国ペルシア(現在のイラン)です。そのため、ダマスクローズはペルシアンローズと呼ばれることもあります。
古代より人々はローズと深くかかわってきており、古代ペルシアの戦士たちは盾をローズで飾り勝利を祈ったり、人々は結婚式ではローズを撒いてその幸せを願ったとそうです。
そしてクレオパトラ(前1世紀)はローズペタル(花弁)浴槽に浮かべたり、寝室に敷き詰めたりと、常にローズの香りを身にまとうことで容姿の美しさとともに香りでも人々を魅了したと言われています。また当時よりローズは非常に高価で、ローズを身の回りにふんだんに使っていたクレオパトラにとって権力の象徴のひとつだったとも考えられています。
最近では、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)の検証結果により、「ローズ精油の香りをまとった生活を続けることで第三者からの印象が向上する」ということが分かっています。
(*注1)
ダマスクローズと同様、ブルガリアンローズ、ターキッシュローズも同じ「Rosa×damascena」類です
(*注2)
「ローズオットー:水蒸気蒸留法」
ローズから取れる精油の採油率は低く、1グラム精製するために約3000輪ものローズが必要といわれており、大変高価な精油です。ローズ・オットー精油の中でも特にブルガリア産は「ブルガリアンローズ」と呼ばれ、最高級の精油となります。溶剤の残留がなく、シトロネロール成分が多く含有するため鎮静作用に優れており、マッサージやスキンケアに向いています。
「ローズアブソリュート:揮発性有機溶剤抽出法」
フェニルエチルアルコールの割合がローズオットーよりも多く、より濃厚なローズの香りとなるため化粧品の材料に使われたりや芳香浴用に使うなど、香りを楽しむのによいでしょう。
名前 | ダマスクローズ (Damask rose) |
学名 | Rosa damascena |
科名 | バラ科 |
抽出部位・方法 | ローズオットー:花・水蒸気蒸留法 ローズアブソリュート:花・溶剤抽出法 |
ノート | オットー:シトロネロール(~50%)、ゲラニオール、ネロール、リナロール アブソリュート:フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール |
主成分 | オットー:ミドルノート アブソリュート:ベース~ミドルノート |
香り | フレッシュで深みのあるローズの香り。 |
禁忌 | 妊娠初期は避けたほうがよい精油 |
ローズの花びらから抽出するため、ごく少量しか抽出できない贅沢なオイル。華やかな甘い香りは気持ちを優雅にしてくれ、スキンケアにも良い精油です。
女性に良い作用をたくさん含んでおり、ホルモンバランスを整える精油です。子宮強壮作用もあり、PMS(月経前緊張症候群)、月経不順、更年期などの症状を和らげる働きがあります。
その他にも血液の循環を良くし、毛細血管を強くする働きなどもあります。
こころへの作用
華やかで優雅なローズの香りは、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌を抑える効果があり、ストレスを緩和してくれることが分かっています。
また幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌を促してくれることで、その名の通り幸せな気分にさせてくれるだけでなく、愛着を深め信頼関係を深める効果、ストレス反応を弱める効果、情緒を安定させてくれ効果など、さまざまな効果をもたらします。
このような効果からもクレオパトラはこれを媚薬として利用していたのではないかと言われています。
からだへの作用
ローズの香りは女性ホルモンの一種であるエストロゲンを増やす働きがあるため、PMSや生理不順といったといった月経に関わる心身面のケアや、女性ホルモンの乱れや現象によって起こる更年期の不調に効果的とされています。
※通経作用があるため妊娠中の使用は控えてください。
スキンケア
その昔、ヨーロッパでは貴族の間で『若返りの薬』として重宝されていたとも言われているローズの成分には抗炎症・抗感染症、鎮静、収れんといった作用があり、これは毛穴を引き締め、シワやたるみを引き締めてお肌に弾力や潤いをもたらしてくれます。肌本来の美しさを取り戻すエイジングケアに良いとされています。
比較的お肌への負担が少ない精油ですが、直接精油を塗布せずにホホバオイルなどで希釈して使用するか、もしくは市販のマッサージ専用オイルを使用することをおすすめします。
また、ローズオイルは直接肌へ付けずに香りを嗅ぐだけで肌のバリア機能を向上させたという(*注3)研究結果もあります。
禁忌
ダマスクローズ精油は、美容やリラクゼーションの分野で広く使用されていますが、一部の人には禁忌が存在しますので使用には注意が必要です。
肌の弱い方やアレルギー反応を持つ方の使用は避けるべき
精油の成分として含まれるゲラニオールは、一般的には安全な成分とされており、多くの人には問題ありませんが、肌の弱い方やアレルギー反応を持つ方もいます。皮膚が過敏に反応し、発疹やかゆみ、皮膚の腫れなどを引き起こすことがありますので、肌につける前に必ずパッチテストなどを行うようにしましょう。
妊娠中(特に妊娠初期)の使用は避けるべき
精油に含まれるゲラニオールという成分の分子構造が女性の生殖システムやホルモンバランスに重要な役割を果たすエストラジオールという女性ホルモンに類似しており、妊娠中のホルモンバランスに大きく影響を及ぼす可能性があります。特にホルモンバランスの変化を起こしやすい妊娠初期は、成分が子宮収縮を促進する可能性がありますので、妊娠中は使用しないでください。
また成分中のフェニルエチルアルコールは、妊娠中の敏感な肌に影響して、皮膚トラブルを起こすことがあるとされています。
事故やトラブルに関して責任を負いかねますので、あくまでも自己責任にてご使用をお願いいたします。
持病をお持ちの方、妊娠中の方、お子様に使用する場合や、その他使用に不安のある方は、専門家や専門医に相談することをお勧めいたします。
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